暗号・セキュリティ · 2026年10月23日(金)

arXiv のセキュリティ・暗号分野(cs.CR)と IACR 暗号学プレプリント。

arXiv cs.CR

Developing Security Metrics for Automated Compliance Checking

説明自動コンプライアンスチェックのためのセキュリティ指標の開発

要約セキュリティ関連の規格への適合を自動で確認するには、文章で書かれた要件を測定可能な技術的特性に変換する必要がある。本論文は、コンプライアンス要件の体系化に基づくセキュリティ指標のデータモデルと、その抽出方法を提案する。方法はオントロジーに基づき、抽象度を揃えた指標を体系的に作成できるようにしている。また、この手法が指標の共同開発を支えることを示す、オープンソースの取り組みの初期成果も紹介している。

Immanuel Kunz, Nico Haas, Angelika Schneider ほか

arXiv cs.CR

Identity Amortization: Shared Resources and the Cost of Sybil Attacks

説明アイデンティティの償却:共有リソースとSybil攻撃のコスト

要約Sybil攻撃への防御の多くは、各アイデンティティにリソースを1つずつ要求することでコストを上げています。本論文は、1つのリソースが複数のアイデンティティを支えられる場合、攻撃者の1アイデンティティあたりのコストが防御の想定より低くなることを示し、これをアイデンティティ償却と呼びます。償却が生じる条件、開始点、最大誤差を判定する厳密な検定を与え、公開された電話認証の価格では、アカウントごとの見積もりが提供コストを1.6~4.3倍過大に見積もるとしています。

Homayoun Maleki, Nekane Sainz, Jon Legarda ほか

arXiv eess.SY · cs.CR · cs.SY

Iterative Behavioral Identification for Covert Misappropriation Attacks

説明隠密な不正流用攻撃のための反復的な振る舞い同定法

要約本論文は、閉ループのネットワーク制御システムに対する隠密な不正流用攻撃について、データ駆動型の三段階フレームワークを提案する。攻撃者は傍受した入出力データのみを用い、無限大ノルムの侵入検知システムの下で発覚を避けながら、プラントの振る舞い部分空間を段階的に同定する。直流モータとPI制御の数値シミュレーションで、完全ランクの同定と隠密な追従が示されている。

Victor Mattos, Amit Bhaya, Daniel Sadoc Menasche ほか

arXiv cs.CR

AquaSense-ICS: A Hybrid Real-Simulated Cyber-Physical Dataset and Leakage-Aware Benchmark for Smart Water Quality Monitoring and Attack Detection

説明AquaSense-ICS:スマート水質監視と攻撃検知のための、実データとシミュレーションを組み合わせた検証リーク対策済みサイバーフィジカル・データセットおよびベンチマーク

要約本論文は、水システムのサイバーフィジカルシステム(CPS)向けの公開データセット兼ベンチマーク「AquaSense-ICS」を提案している。ラズベリーパイ5のエッジノードで記録した実データと、EPANET-MSXで模擬した13ノードの管網データを統合し、サンプル単位の正解ラベル付きの攻撃・センサー故障や、拡張データ・TimeGANによる生成系列も含む。ランダム分割や入力特徴からのラベル再構成では見かけ上の高スコアしか得られないとして、時系列分割と未知攻撃種別での評価を提案し、その条件下で最良の検知器の未学習攻撃に対する平均AUROCは0.64だと報告している。

Amal Neji, Mohamed Fourati, Lamia Chaari Fourati

IACR ePrint Public-key cryptography

Descent-PBS: Programmable Bootstrapping beyond the Ring Dimension

説明Descent-PBS:環次元を超えるプログラマブル・ブートストラッピング

要約本論文は、FHEW/TFHE 準同型暗号において暗号文の更新と参照テーブル(LUT)評価を同時に行うプログラマブル・ブートストラッピング(PBS)の新手法 Descent-PBS を提案する。モジュールランクに起因する費用を、公開関数鍵切り替えや共有鍵の利用によって削減するとされる。TFHE-rs ベースの実装で、128 ビット安全性・単一スレッドにおける 16 ビット LUT の評価時間は 196 ms と報告され、Meta-PBS や WoP-PBS との比較結果も示されている。

Zhenyu Xiong, Mingsheng Wang, Han Wang ほか

arXiv cs.CR

Privacy-Preserving Federated Loss Exploration for Vision-Based Perception under Non-IID Data

説明非IID データにおける視覚認識向けのプライバシー保護型連合損失探索(PPFLex)

要約本論文は、車両カメラのデータを連合学習で訓練する際のプライバシー問題を扱います。勾配ガイド型の連合最適化手法は追加の勾配情報を共有するため、悪意のあるサーバーがクライアントのラベル集合を50%から84%の精度で推定できることを示しました。これに対し、中央サーバーを3台の安全な多者計算(MPC)サーバーに置き換えるPPFLexを提案します。交通標識データセットでの評価では、平文のFedLEx並みの精度を保ちつつ情報漏えいを防ぎ、MPCの計算負荷も許容範囲内でした。

Nergiz Yuca, Christian Intern\`o, Nikolay Matyunin ほか

★★★★★ 注目
IACR ePrint Cryptographic protocols

Faster and Smaller Anonymous Credentials from Standardized Signatures

説明標準署名に基づくより高速で小型の匿名資格証明(GordieHowe システム)

要約本論文は、言語、認証付きコンパイラ、ゼロ知識証明プロトコルからなる GordieHowe システムを提案している。ECDSA、RSA、ML-DSA などの標準署名方式の上で匿名資格証明を構築するのに適するとされる。原文によれば、量子攻撃者に対する証明可能な安全性、複数体上の文の効率的な証明と検証(並列処理を含む)、構造化計算の自動バッチ処理を同時に実現する初のシステムである。性能面では、ECDSA 署名のモバイル運転免許証の提示を 4 コアで 64.8 ミリ秒、証明サイズ 276 KiB で証明したと報告されている。

注目点直列・並列IOPの新概念とQROM下のBCS拡張、模擬抽出可能性の結果を示し、既存手法より高速でサイズも小さいことを多くのベンチマークで示している。

Chad Sharp, Paul Grubbs

arXiv cs.CR

On Task, Off Track: Benchmarking LLM and Agent Robustness to Near-Target Prompt Injection

説明タスクからは外れても気づかれにくい:近接ターゲット型プロンプトインジェクションに対するLLMとエージェントの頑健性評価

要約本論文は、既存のプロンプトインジェクション評価が、ユーザーの依頼を明らかに放棄する攻撃しか扱っていないと指摘します。正当な回答の体裁を保ちながら誤りや有害な変更を加える「近接ターゲット型」攻撃を対象に、既存データセットの正当なタスクを基にしたNTBenchを提案し、七つのLLMを十の言語データセットと二つのエージェントベンチマークで評価しています。同じ三回の攻撃試行という条件では、近接ターゲット型の攻撃成功率が固定ターゲットの基線より高くなりました。

Yuyang Gong, Zihao Wang, Jiawei Liu ほか

★★★★★ 注目
IACR ePrint Secret-key cryptography

Tight Post-Quantum Multi-Key Security of the FX Construction

説明FX構成の量子後耐性マルチキー安全性の厳密な境界

要約本論文は、ブロック暗号の鍵長拡張方式であるFX構成(Kilian と Rogaway が提案)について、量子理想暗号モデルでの安全性を検討しています。Shiba と Iwata が示した総問い合わせ回数の上界を、完全適応型の敵対者に対して約2^((n+κ)/3)へ改善しました。また、オフラインSimonアルゴリズムによる既知の攻撃がこの指数に一致することから、この条件ではFXを破るのに必要な総問い合わせ量の指数は鍵付きインスタンス数に依存しないと述べています。

注目点量子理想暗号モデルにおけるFX構成の多鍵安全性境界を指数的に改善し既知攻撃と一致させた。証明は厳密で、分野の一部に影響がある。

Rentaro Shiba, Tetsu Iwata

★★★★☆ 注目
IACR ePrint Foundations

Learning with Quantization and Worst Case Lattice Problems

説明量子化を伴う学習と最悪ケース格子問題

要約MAMBA 提案に動機づけられ、公開ディザ(public dither)付きの量子化学習(LWQ)の最悪ケース困難性を研究しています。Lyu らのランダム化極座標格子量子化器を用いて、多項式的な二冪モジュラスの明示的な族を構成しています。探索版の帰着により、GapSVP と SIVP に対する量子多項式時間アルゴリズムが得られると述べています。さらに、区間一様誤差を伴う LWE への拡張も検討され、決定論的な量子化境界が生む障害を指摘していますが、これらの誤差に対する完全な最悪ケース帰着や、MAMBA の具体的パラメータでの困難性の証明は行っていません。

注目点ランダム化極座標格量子化器を用いてLWQ族を構成し、GapSVPとSIVPへの量子多項式時間帰着を与えるが、MAMBAパラメータでの結論は不完全である。

Ziwei Hong, Zhongqiu Fang

IACR ePrint Applications

For Thirty Pieces of Silver: Overcoming Non-IID via ZKP Sample-Level Auditing and Forcing Attackers into Traitors in Federated Learning

説明「銀貨三十枚」:ゼロ知識証明によるサンプル単位監査で非IIDを克服し、攻撃者を裏切り者に変える連合学習の防御手法

要約本論文は、連合学習におけるデータ汚染やバックドア攻撃への新たな防御パラダイムを提案する。勾配検出に頼らず、ゼロ知識証明でクライアントの局所データをサンプル単位で検査する。ステーキング機構により、発見された悪性サンプルのラベルを反転させて攻撃者に学習させ、隠れた悪性サンプルを打ち消す対抗勾配を生成させる。Dir(0.1)の強い非IID設定下で、CIFAR-10上の分散バックドア攻撃とエッジケース攻撃を防ぎ、攻撃成功率を低く抑えたと報告している。

Jinghao Zhao, Hongwei Yang, Bobo Wang ほか

IACR ePrint Implementation

A Crypto-Agile Mixed-Radix NTT Accelerator for Negacyclic and Trinomial Rings

説明負巡回環と三項式環に対応する暗号アジャイル混合基数NTTアクセラレータ

要約本論文は、負巡回環と三項式環の両方の変換を単一のデータパスで実行できる混合基数数論変換(NTT)のハードウェアアクセラレータを提案しています。統一バタフライ部、競合のないメモリ配置、DSPを使わない定数除算を設計の要素としています。Artix-7 FPGA上で実装され、ML-KEM、ML-DSA、HAETAE、SMAUG-T、NTRU+に対応し、5,279 LUT、4 DSP、9 BRAM、141.5 MHzで動作します。NTRU+については、基数2のみのコアと比べて面積時間積が4.1〜13.0倍改善されたと報告されています。

JaeSeok Lee, DongHyun Shin, YoungBeom Kim ほか

arXiv cs.CR

Embedding Large PQC KEMs in IKEv2

説明大型PQC KEMをIKEv2に組み込む方式の比較

要約耐量子暗号の鍵カプセル化機構は公開鍵が非常に大きく、IKEv2の初期交換は分割できないため問題となる。著者らはIETFの提案を調査し、同一のオープンソース基盤上で八つの方式を実装して比較した。異なる帯域、遅延、パケット損失の条件で約12万6千回のハンドシェイクを測定した結果、鍵サイズの影響を完全に補償できる方式はなく、QUIKEの複合鍵交換が全体として最も良い性能を示したと報告している。

Daniel Herzinger, Marco Thomas, Tobias Handirk ほか

arXiv cs.SE · cs.CR

DeepAVR: Deep Analysis via Multi-Agent Collaboration for Automated Vulnerability Repair

説明DeepAVR:マルチエージェント協調による深い分析で行う自動脆弱性修復

要約本論文は、端から端までの自動脆弱性修復(AVR)のためのマルチエージェント枠組みDeepAVRを提案します。修復を故障特定、パッチ生成、コンパイル・セキュリティ・機能の検証、パッチレビューなどの役割に分け、中間結果を基に根本原因を再特定します。C/C++の実データセットVulnLocでは92.3%の脆弱性で正しいパッチを生成したと報告され、SAN2VULNでは学習時に見ていない脆弱性にも対応できたとしています。

Woorim Han, Hyunjun Kim, Brian Junekyu Lee ほか

arXiv cs.CR · cs.AI

Data-Efficient Backdoor Attacks on Code Models via Trigger-Neutralized Counterfactual Scoring

説明コードモデルへのデータ効率の高いバックドア攻撃:トリガー中和型反事実スコアリングによる学習サンプル選択

要約本論文は、コードモデルに少数の毒データを混入してバックドアを仕込む際、どの学習サンプルを汚染すべきかを選ぶ手法TNCSを提案しています。トリガーを含む入力と、トリガーを除いた反事実入力に対するモデル出力を比較し、トリガーが目標挙動に寄与する度合いを分離します。原文によると、極めて低い汚染率でも、三つのCodeXGLUEタスクと五種類のトリガーで基線より高い攻撃成功率を示し、クリーンタスクの性能は低下しないとされています。

Yu-Yu Lee, Ming-Feng Tsai, Tomohiro Morikawa ほか

arXiv cs.CR · cs.CY

Automated Post-Exploitation Attack Chain Exploration Based on a Phase-guided Hybrid Planning-Monte Carlo Tree Search Algorithm

説明フェーズ誘導型の計画・モンテカルロ木探索ハイブリッドアルゴリズムによる、ポストエクスプロイトの攻撃チェーン自動探索

要約本論文は、ポストエクスプロイトの場面で、正規操作、設定ミス、脆弱性悪用を組み合わせて権限昇格などを達成する攻撃チェーンを自動的に発見するシステム APEX を提案しています。攻撃チェーンの発見を計画問題として定式化し、フェーズ誘導型の記号的計画とモンテカルロ木探索を組み合わせたアルゴリズムで解きます。原文によれば、5 台の仮想マシン、30 の合成問題、291 のクラウドインスタンスからなるベンチマークで、既知および未報告の攻撃チェーン(新規の権限昇格経路 9 件を含む)を発見したとされています。

Jie Ying, Mengce Zheng, Ruoxi Chen ほか

arXiv cs.CY · cs.CR

Autonomous Cyber Weapons as AI-Enabled Digital Harms: A Platform Accountability Framework

説明自律型サイバー兵器をAIがもたらすデジタル被害として捉える:プラットフォーム説明責任の枠組み

要約本論文は、EUのデジタルサービス法、AI法、英国のオンライン安全法が主に商業プラットフォー上のAI生成によるオンライン被害を規制している一方、国家が民間インフラに対して配備する自律型サイバー兵器(ACW)は規制されていないと指摘します。著者はデジタル被害の分類法、有意味な人間の統制(MHC)モデル、プラットフォーム説明責任の枠組みを提案し、国家に帰属する11件の記録された作戦で検証しています。記録された事例はすべて説明責任の空白に置かれたとされています。なお、重みと閾値のパラメータは例示的なもので、当てはめによって得られたものではありません。

Mansi Ganga Nayak, Samarjeet Malik, Shaurya Pratap Singh ほか

arXiv cs.CY · cs.CR

Democratic Accountability for Autonomous Systems: A Legislative Notification Framework and Comparative Institutional Design

説明自律型システムに対する民主的説明責任:立法通知の枠組みと比較制度設計

要約本論文は、自律型サイバー兵器の使用決定を誰が監督すべきかを扱います。著者は三段階の法的帰属に加え、決定後72時間以内に立法府へ通知する非法的な第四の民主的説明責任レベルを提案しています。六つの民主的監督機関を五つの採用可能性の観点で評価した結果、機密情報へのアクセスを認める法律が、特定の進行中の作戦を同じ機関から除外していることが多く、現状では合法的に通知を受けられる機関はほとんどないとされています。Stuxnet、NotPetya、Volt Typhoonの事例分析では、法的な帰属は特定できても国内での民主的審査が欠けていたことが示されています。

Samarjeet Malik, Mansi Ganga Nayak, Mugdha Raje Ashiya ほか

arXiv cs.CR

The 3DS Oracle: BIN Attack via the Network

説明3DSオラクル:ネットワーク経由のBIN攻撃に関する論文

要約本論文は、EMV 3-D Secure(3DS)をプロトコル、統合インターフェース、ガバナンスの観点から検討し、標準の分析、アーキテクチャの再構成、形式モデリング、限定的な実機評価を組み合わせています。一部の導入では、クライアントに見える3DSの応答が金融承認の前に経路やカード認証の状態を示し、カード番号や口座の状態を推定する手段になりうることを示しています。筆者らは、この問題の根本は業界全体の制度的な課題であり、解決には業界コンソーシアムによる改革が必要だと述べています。

Wasif Faisal (1), Suprava Saha Dibya (1) ((1) BRAC University)

arXiv cs.CR · cs.ET

Benchmarking Classical and Quantum Machine Learning for Intrusion Detection Across Multiple Datasets

説明複数のデータセットにおける侵入検知のための古典・量子機械学習のベンチマーク比較

要約本論文は、NSL-KDD、UNSW-NB15、MQTTEEB-D2025の3つのデータセットを用い、古典的および量子機械学習モデルによる侵入検知を比較しています。前処理、特徴量選択、量子エンコーディングがモデル性能に与える影響を検討し、ランダムフォレストによる重要度と量子カーネル整列・相互情報量を組み合わせた手法を比較しています。古典モデルは3データセットで安定した性能を示し、量子モデルは特徴表現やカーネル整列への依存が大きいことが示されています。Pegasos量子SVMは精度と計算コストのバランスが良いと報告されています。

Taha M. Mahmoud, Naima Kaabouch

arXiv cs.CV · cs.CL · cs.CR

Depth-Dependent Safety Geometry in Vision-Language Models: Layer-Wise Localization and Bidirectional Refusal Control

説明視覚言語モデルにおける深さ依存の安全性幾何:層ごとの局在化と双方向の拒否制御

要約本論文は、再学習やパラメータ変更を行わず、凍結された視覚言語モデル内の安全性に関わる表現を推論時に局在化・操作する軽量な枠組みを提案しています。Qwen3-VL-4B での分析では、安全性の幾何構造が深さ方向に一様でないことが示されました。初期の視覚層では学習された安全方向に沿った活性化操作により強い双方向の拒否制御が可能でしたが、深い層ではこの操作にほとんど反応しませんでした。さらに、視覚エンコーダにおける白箱的な表現レベルの拒否回避のリスクも指摘しています。

Muhammad Zeeshan Karamat, Syed Talal Hassan, Christiana Chamon Garcia

arXiv cs.LG · cs.CR

Curvature-Aware Clipping: Mitigating Bias in DPSGD via Approximate Second-Order Information

説明曲率を考慮したクリッピング:近似二次情報によるDPSGDの偏り低減

要約本論文は、差分プライバシー付き確率的勾配降下法(DPSGD)で深層ネットワークを学習する際に、勾配クリッピングが生む偏りの問題を扱っています。近似二次情報を用いて曲率を考慮したクリッピング空間を構築するCA-DPSGDという手法を提案し、プライバシー保証のために異方性ノイズ機構を組み合わせています。著者らは、この手法が最新のクリッピング手法より優れていると報告しています。

Xincheng Xu, Thilina Ranbaduge, Thierry Rakotoarivelo ほか

★★★★★ 注目
arXiv cs.CR

Detecting Insecure Compositions of Clean Agent Skills via Capability-Flow Graph Analysis

説明クリーンなエージェントスキルの不安全な組み合わせを能力フローグラフ解析で検出する研究

要約個々には無害な複数のサードパーティ製スキルが、エージェントの実行時に連鎖して呼び出されると、上流の出力が下流の入力になることで安全違反のチェーンを形成しうることを示しています。単体のスキルを対象とする既存の悪意あるスキル検出では捉えられないこの問題に対し、著者らはKnotScryerを提案し、スキル間の情報フローを表すグラフで不安全な組み合わせを検出します。ClawHubの13,598件のクリーンなスキルを分析し、612件の不安全な組み合わせを特定したと報告しています。

注目点スキル間の合成によるセキュリティリスクを捉え能力フローグラフで検出する点が新しく、13,598件での検証と利用率の大幅向上が影響を裏付ける。

Yihao Li, Chuanpu Fu, Yizhou Zhao ほか

arXiv cs.CR

Hidden Backdoor Attack on Deep Contrastive Clustering

説明深層コントラスティブクラスタリングに対する隠れたバックドア攻撃

要約本論文は、教師なし画像クラスタリングの代表的手法である深層コントラスティブクラスタリングが、学習時のデータ汚染攻撃に対してどれほど安全かを検討する。著者らはHBDCCという手法を提案し、学習データのごく一部にのみトリガーを仕込み、推論時にトリガーが現れたときだけクラスタ割り当てを乱す。通常データでは正常に動作し、ImageNet-10、ImageNet-Dogs、STL-10で評価を行い、投毒比率や攻撃範囲、トリガーの種類・大きさ、知識蒸留による緩和策も調べている。

Zifeng Zhou, Shengda Zhuo, Jiahui Huang ほか

arXiv cs.CR · cs.AI

AgentTrace: Execution-Level Fingerprinting of Black-Box LLM Agents

説明AgentTrace:ブラックボックスLLMエージェントの実行レベル指紋特定

要約本論文は、ブラックボックスのエージェントの背後にある基盤モデルを、観測可能な実行トレースから特定する手法AgentTraceを提案しています。構造上あいまいなプローブを工具インターフェースに注入し、トークン化に敏感なシリアライズ失敗を引き起こします。その後の修復操作の時系列を軽量なマルコフ連鎖でモデル化し、敵対的な身元偽装下で96.0%の帰属精度を報告しています。

Gejian Zhao, Hanzhou Wu, Xinpeng Zhang

★★★★☆ 注目
IACR ePrint Secret-key cryptography

Pairwise Independence of Ten-Round AES

説明10ラウンドAESのペアワイズ独立性の証明

要約本論文は、ラウンド鍵が独立で一様ランダムな場合、10ラウンドのAES(Advanced Encryption Standard)が、ペアワイズ独立な分布と統計的距離がきわめて小さいことを示しています。上界は3017/2^141で、2^-129未満です。相異なる2つの平文について、暗号文の組の同時分布は、相異なる暗号文の順序対上の一様分布にこの距離以内で近いことになります。証明ではAESのラウンド変換を保持しており、最終ラウンドでのMixColumnsの省略や入出力のホワイトニングも含まれています。

注目点十ラウンドAESの対独立性からの偏差に上界を与え、既存の理論結果を改善。有限漸化式の厳密な有理計算で界を導出。

Zhongfeng Niu, Kai Hu

arXiv cs.CR

Label-Budgeted Attribute Inference from Protected Features in Edge-Cloud Split Multimodal LLMs

説明エッジ・クラウド分割型マルチモーダルLLMにおける、ラベル予算に基づく保護特徴からの属性推論

要約本論文は、エッジ・クラウド分割推論において、正直だが好奇心の強いサーバーが端末から送られる中間特徴から年齢・性別・人種などの機微な属性を推論できるかを検討しています。著者らは、サーバーのラベル付きサンプル数に応じて未保護時の漏えいのどれだけを回復できるかを示す復元曲線により、特徴レベルのプライバシーを測る手法を提案しています。結果として、未保護の場合はどの分割深度でも3属性が漏えいし、保護機構を導入しても限られたラベル量で多くの情報が回復可能であることが示されています。

Junguang Yao, Peichun Hua, Hanxiu Zhang ほか

★★★★☆ 注目
IACR ePrint Foundations

Quantum Cryptomania with Classical Communication without One-Way Functions

説明単方向性関数なしの量子暗号:古典通信による公開鍵暗号

要約本論文は、公開鍵と暗号文がともに古典的な量子公開鍵暗号が、量子計算可能な単方向性関数を必要とするかを研究している。著者らは、ユニタリ・実数・自己逆元の特定のオラクルの下で、そのような暗号方式が存在する一方で量子単方向性関数は存在しないことを示し、黒箱分離を与えている。また、量子回路に対する量子不可識別性難読化と効率的に検証可能な単方向パズルから、この暗号方式を構成している。

注目点量子一方向性関数と古典鍵・暗号文を持つqPKEの間のブラックボックス分離を示し、量子不可識別化難読化からの構成も与える点が新しい。

Mohammed Barhoush, Amit Behera

arXiv cs.CR

SPA: Structure-Preserving Approximation of Gated Activations under FHE

説明SPA:FHE下におけるゲート型活性化関数の構造保存近似手法

要約本論文は、完全準同型暗号(FHE)によるニューラル推論で非線形活性化関数の計算コストが大きい問題を扱い、SPA(Structure-Preserving Approximation)を提案します。GELUやSiLUなどは共通の代数構造を持つため、SPAは厳密な奇成分を保持し、偶残差のみをx²の多項式で近似します。これにより比較演算を必要としない演算カーネルが得られます。平文実験では下流タスクの性能がほぼ維持され、CKKSの固定区間ベンチマークでは誤差と遅延の良好なトレードオフが示されています。

Rui Li, Wenyuan Wu, Weijie Miao

arXiv cs.CV · cs.AI · cs.CR コードあり

Concept Acupuncturist: An Efficient and Precise Concept Erasure Method for Diffusion Models via Sparse Autoencoders

説明概念鍼灸師:スパースオートエンコーダによる拡散モデルの効率的かつ精密な概念消去手法

要約本論文は、拡散画像生成モデルから有害・規約違反の特定概念を除去しつつ、一般的な能力を保つ機械的忘却(MU)手法ConceptACPを提案する。セマンティック概念をU-Netデノイザのクロスアテンションブロックに対応づけ、最も関連するブロックを局所的に微調整し、スパースオートエンコーダ(SAE)による特徴レベルの修正信号で概念の絡み合いを緩和する。著者らによれば、SDXL-Turboにおける単一ステップ生成設定で、最良の基準手法より平均36.34ポイント高い忘却成功率を示し、画質とプロンプトへの忠実性を維持した。

Yiran Xiahou, Siliang Qin, Kai Chen ほか

arXiv cs.CR

SynMark: Semantic-Coordinate Multi-Bit Watermarking during LLM Code Generation

説明SynMark:LLMコード生成時に意味座標を用いる多ビット透かし手法

要約本論文は、大規模言語モデルがコードを生成する際に多ビットの透かしを埋め込むSynMarkを提案しています。表層的なトークンに依存する経路の代わりに学習された意味座標を用い、抽出時には信頼度重み付き集約で変換後の誤差を抑えます。100%の識別子リネームのもとで、CodeLlamaとDeepSeek-CoderのBitAccはそれぞれ82.27%と83.77%でした。

Rui Xu, Weizhi Liu, Zhaoxia Yin

★★★★★ 注目
arXiv cs.CR · cs.LG

TRACE: Data-Free Text Reconstruction Attacks against Approximate Unlearning in LLMs

説明TRACE:大規模言語モデルの近似アンラーニングに対する、データ不要のテキスト復元攻撃

要約本論文は、大規模言語モデルの近似アンラーニング(approximate unlearning)では、アンラーニング前後のモデルスナップショット間に痕跡が残り、攻撃者がアンラーニングされた学習データを復元しうることを示しています。著者らはTRACEという枠組みを提案し、データに関する事前知識なしに、パラメータ差分から候補トークンを絞り込み、2つのモデルの困惑度差に基づく対照的スコアリングで系列を組み立てます。TOFU、MUSE、WMDPなど複数のデータセット、複数のモデル、6種類のアンラーニング手法での実験により、高い忠実度で復元できることが示され、現行の近似アンラーニング運用における隠れたプライバシーリスクが明らかにされています。

注目点近似アンラーニングがスナップショット間のパラメータ差分として痕跡を残すという側面を指摘し、事前知識なしで学習データを復元する手法を、複数データセット・モデル・六つの手法で検証している。

Mengying Zhang, Derui Wang, Ibrahim Khalil ほか

arXiv cs.CR · cs.LG

WADE: An LSTM-Based Anomaly Detection Engine for WebAssembly Applications

説明WADE:LSTMに基づくWebAssembly向け異常検知エンジン

要約WebAssemblyはランタイムの保護機能が限られており、従来型の攻撃に対して脆弱になりうると指摘しています。本論文は、良性条件下で収集した関数単位の実行トレースからLSTMネットワークを学習し、各アプリケーションの正常な振る舞いを捉えるWADEを提案しています。67個のアプリケーション、10種類の脆弱性クラスで評価し、見逃し0、誤検知率0.42%という結果を報告しています。

Ilaria Campestrini, Stefano Zanero, Engin Kirda

arXiv cs.CR · cs.AI · cs.MA コードあり

Agentic AI Defense: Decode-Time Provenance Binding for MCP

説明エージェントAIの防御:MCP向け復号時の来歴バインディング

要約本論文は、モデルコンテキストプロトコル(MCP)を用いるエージェントAIシステムを対象に、信頼できないツール出力を通じた間接的なプロンプトインジェクションを扱っています。メール署名画像に隠された指令が、テキストスキャナを回避してツールによる復号後にマルチエージェントの処理へ入る様子を示しています。提案手法は、HMAC認証付きの信頼ラベル、来歴台帳、文脈汚染追跡を組み合わせ、重要なツール呼び出しを阻止します。実験では、攻撃成功率が0%に抑えられたと報告されています。

Eric Yocam, Varghese Vaidyan, Paris Kalathas ほか

★★★★☆ 注目
arXiv cs.CR · cs.RO

Not an Accident: Exploiting Safety Filter Inadequacy in Humanoid Robots

説明偶然ではない:ヒューマノイドロボットの安全フィルタの不備を悪用する研究

要約本論文は、ヒューマノイドロボットの安全フィルタが衝突を防ぐという保証は、安全パラメータが正しく設定されている場合にのみ成り立つと指摘しています。正しい設定はタスクや環境ごとに異なり、一般的な決定方法は存在しません。著者らは目標挿入攻撃を提案し、脆弱な場面を自動で特定するツールSIRENを開発しました。SPARKデータセットのすべての脆弱な場面で攻撃を発見し、実機のヒューマノイドに衝突を引き起こせることも示しています。

注目点人型ロボットの安全フィルタは、パラメータ設定の不備が通常のユーザー操作で悪用されうることを示し、自動攻撃ツールSIRENを提案。SPARKでは基線の3倍の攻撃を発見し、実機でも検証した。

Tiffany Bao, Shangtao Li, Yifan Sun ほか

IACR ePrint Cryptographic protocols

On the s-projected Goppa Codes and their Application to the Interactive Oracle Proofs of Proximity

説明s 射影 Goppa 符号とインタラクティブオラクル近接証明への応用について

要約本論文は、誤り訂正符号の暗号的証明システムにおける利用を検討しています。Goppa 符号は McEliece 暗号方式で 40 年以上にわたり安全性が保たれてきたことで知られています。著者らは、この符号を用いてインタラクティブオラクル近接証明(IOPP)を構成する新しい方法を提案しています。

Abhraneel Dutta, Veronika Kuchta, Edoardo Persichetti

★★★★☆ 注目
arXiv cs.CR

Incomparable Minima in Agent Tool Authorization

説明エージェントのツール認可における比較不能な最小権限

要約本論文は、エージェントがツールを呼び出す際の認可について、二つの権限付与のどちらがより小さいかを判定する問題を扱う。MicrosoftのGraphとGoogle APIの認可表を分析した結果、Graphタスクの約29.8〜33.3%、Googleリソースタスクの3.2%では最小の十分な権限が一意に定まらないことが示された。また6つのフロンティアモデルの選択を検証し、基準では選ばれた最小権限を報告し、承認者に代替案を示すことを提案している。

注目点エージェントのツール認可で最小付与が反鎖を成し唯一解がないことを示し、Microsoft・Google の実表で大規模に検証。新規性と証拠は十分で、影響は認可ガバナンス分野に限られる。

Xin Xu

IACR ePrint Cryptographic protocols

Mímir: A Stateless Private Search Engine

説明Mímir:ステートレスなプライベート検索エンジン

要約この論文は、公開文書データベースから、テキストクエリに類似した文書を利用者のプライバシーを守りながら検索する暗号プロトコル Mímir を提案している。(Ring) Learning with Errors の安全性に基づき、頻繁に更新されるデータベースにも対応し、オフライン通信は不要とされる。Tiptoe や PACMANN と比較し、検索品質、クエリごとの通信量、遅延の面での結果が示されている。

Gökberk Erdoğan, Emma Munisamy, Kamil Kluczniak

arXiv cs.CR

SEMPRE: Semantic-Aware Protocol Reverse Engineering via Consistency-Driven Joint Optimization

説明SEMPRE:一貫性駆動の共同最適化による意味認識型プロトコルリバースエンジニアリング

要約本論文は、非公開または独自の通信プロトコルの形式を自動的に解析するフレームワークSEMPREを提案しています。動的プログラム解析で得た情報をもとに、大規模言語モデルの再帰的推論で各フィールドの分割、入れ子になったサブプロトコルの検出、型と役割の推定を行います。論文では、主要プロトコル群で6つの最新手法より高い性能を示したとし、実在のボットネットの事例でも有用性を確認したと述べています。

Yihua Xu, Weijie Huang, Xiaofeng Wang ほか

IACR ePrint Public-key cryptography

Balsamic: One-round Threshold UOV from GPU-Accelerated FHE

説明Balsamic:GPU高速化完全準同型暗号に基づく1ラウンド閾値UOV署名

要約本論文は、完全準同型暗号(FHE)の下で完全に動作する不均衡油酢(UOV)署名方式Balsamicを提案し、それを1ラウンド閾値UOV署名へ適用します。暗号化された状態での線形方程式の解法と再試行の選択を効率化するため、ペアピボットソルバーとピボット成功証明を設計しています。2-out-of-3の半正直モデル閾値署名の実験では、部分署名1件の処理時間はNVIDIA RTX 6000 Adaで10.7秒、GB300で7.77秒、応答あたり約5.25 MBでした。

Jaehyung Kim, Charles Gouert, Jean-Luc Watson ほか

arXiv cs.CR · cs.SE

Ulysses: A Security Harness For Synthesizing Verifiable Web Exploits

説明Ulysses:検証可能な Web 脆弱性エクスプロイトを生成するセキュリティハーネス

要約本論文は、Web アプリケーション向けに検証可能な脆弱性エクスプロイトを合成する、マルチエージェント型のセキュリティハーネス Ulysses を提案しています。エクスプロイトの仮説を反復的に検証し、独立して観測された実行結果によって成功を確認することで、候補となる脆弱性を検証済みの悪用可能性の証明に変換します。25 の実際の Web アプリケーションを含むベンチマーク WebExploitGym で評価したところ、25 件の実際の勧告のうち 10 件について検証済みの証明を生成し、これまで報告されていない 4 件の新たな証明も発見しました。

Aditya Oke, Andr\'e Vicente Duarte, Rui Melo ほか

arXiv cs.SE · cs.CR

ToolContractGate: Versioned Trusted Contracts for Drift-Safe Agent Tool Invocation

説明ToolContractGate:ドリフトに安全なエージェントツール呼び出しのための、バージョン管理された信頼契約

要約本論文は、OpenAPI から生成されたエージェントツール向けの決定的なランタイム契約評価器 ToolContractGate を提案し、リクエストを承認済みのソース成果物(OpenAPI フィンガープリントとアクセス・スキーマ・振る舞いの宣言)に結び付けます。合成ベンチマーク 45 件(危険 35 件、安全 10 件)では、完全なパイプラインが 35 件すべての欠陥を検出し、安全なケースで誤ブロックはありませんでした。平均ゲート遅延は 0.18 ミリ秒です。結果は契約判定の網羅性を示すもので、実際の強制にはホストシステムが返された判定に従う必要があります。

Sachin Gupta

★★★★☆ 注目
IACR ePrint Foundations

PPAD Hardness from SIS

説明SIS問題に基づくPPAD困難性の証明

要約本論文は、従来研究で用いられたLWE問題ではなく最短整数解(SIS)問題に基づき、PPAD複雑性クラスが平均的に困難であることを示す。条件は、準多項式のノルム上限を持つ多項式困難なSISと細粒度の平均的困難性仮定、または亜指数的に困難なSISのみの二通りである。主な技術的貢献は、短い記述を持つ指数サイズの回路に対する簡潔で増分更新可能な証明システムの構成であり、基礎となる方式の一意性保証は保たれている。

注目点PPADの困難性をLWEではなくSISに基づかせ、増分更新可能なsuccinct証明系を構築する点で新規性が高く、理論的な厳密性も高い。

Arka Rai Choudhuri

IACR ePrint Secret-key cryptography

A Probabilistic Extension of the Division Property: Integral Distinguishers with Key-Independent Bounds

説明除法性質の確率的拡張:鍵に依存しない上界を持つ積分識別子

要約本論文は共通鍵暗号の積分解読を扱い、従来の除法性質に基づく手法は零和確率がちょうど1の場合しか排除できず、その確率の実際の値は示せないと指摘します。著者らはMILPによる経路探索と定数入力への割り当ての再帰的評価を組み合わせ、有効な経路が残らない確率を見積もり、零和確率を予測する補助的ヒューリスティクスを用います。これをPRESENT、GIFT、ASCON(ASCON置換)に適用し、6~9ラウンドの確率的積分識別子を得ています。さらに鍵回復に用いることで、PRESENTとGIFT-64では決定的な変種と比べてデータ量と計算量が削減されると述べています。

Jules Baudrin, Christina Boura, Patrick Derbez ほか

★★★★★ 注目
arXiv quant-ph · cs.CR

The Entire Quantum Computer on a Classical Leash

説明古典クライアントが不正を働きうる量子サーバーを「仮想量子コンピュータ」として使う方法

要約量子ハードウェアを持たない古典的クライアントが、信頼できない、悪意を持ちうる量子サーバーを自分の信頼できる量子コンピュータのように利用できることを示した論文です。サーバー上で量子計算を秘密裏に選択・実行し、量子状態を準備・処理し、サーバー自身からも隠された量子メモリを保持して後続の計算に使えます。基礎は後量子暗号の仮定である誤り付き学習問題の困難性で、これにより量子サンプリングの古典的検証と遠隔量子状態準備という2つの未解決問題を解決したとしています。

注目点古典クライアントが不信な量子サーバーを用いて仮想量子計算を行う方式を提示し、LWEに基づく悪意ある安全性の構成で二つの未解決問題を解決している。

Yael Tauman Kalai, Dakshita Khurana, Justin Raizes

arXiv cs.LG · cs.CR

OP-Print: Tracing Membership Imprints in On-Policy Self-Distillation

説明OP-Print:オンポリシー自己蒸留における会員推論の痕跡の追跡

要約本論文は、外部教師モデルを使わず学生モデル自身の出力と追加文脈を監督信号とするオンポリシー自己蒸留が、学習データの会員情報を漏らすかを調べたものです。著者らは同手法に対する会員推論攻撃を初めて検討し、グレーボックスとブラックボックスの両設定に対応する統一フレームワーク「OP-Print」を提案しています。多様なモデルと蒸留方式において、既存の基準攻撃はグレーボックスでもほぼランダム推測の水準にとどまる一方、OP-Printは両設定で有効であると検証されています。

Qi Li, Xinchao Wang

★★★★☆ 注目
arXiv cs.LG · cs.CR · cs.DS

Efficient and Optimal Learning of Discrete Distributions with Person-Level Privacy

説明人単位のプライバシーの下での離散分布の効率的かつ最適な学習

要約本論文は、バッチ設定で人単位の差分プライバシーを満たしながら離散分布を学習する問題を扱います。各ユーザーが未知の分布からサンプルを提供し、総変動誤差αで分布を推定することが目標です。純粋差分プライバシーと近似差分プライバシーの両方について多項式時間アルゴリズムを示し、純粋DPの場合は対数因子を除いて情報理論的な最適性に一致すると述べています。手法は次数6の平方和推定量に基づき、半正定値計画の双対性と Friedland と Lim による Grothendieck 不等式の応用で証明されています。

注目点多項式時間の純粋DPおよび近似DPアルゴリズムを提示し、純粋DPで情報理論的最適性(対数因子内)に一致する初の結果を示す。新しいSoS推定器とGrothendieck不等式の応用で理論的に堅固。

Gautam Kamath, Mahbod Majid, Ankur Moitra ほか

arXiv cs.CR · cs.AI · cs.SI

Social-HUMINT: An LLM-Augmented Unified Framework for Measuring Social Media Exposure

説明Social-HUMINT:大規模言語モデルでSNS露出度を測る統一フレームワーク

要約本論文は、ソーシャルメディア情報(SOCMINT)とサイバー人的情報(Cyber-HUMINT)を統合し、サイバー脅威インテリジェンスの流れにわたる38の能力からなる分類体系を提案しています。専門家による検証でFleiss' κ = 0.92を得ています。大規模言語モデルを用いたマルチエージェント処理により、公開データから情報を抽出し利用者の属性を推定しており、抽出のF1値は97.3%、推定属性の評価は5点満点で4.73でした。防御側が攻撃者より先に自身の露出度を把握することを目的としています。

Pellegrino Casoria, Simon Pietro Romano

IACR ePrint Public-key cryptography

Integer Coordinate Families and Threshold RSA Signatures for Any Prime Exponent

説明任意の素数指数に対する整数座標族としきい値RSA署名

要約本論文は、しきい値RSA署名で用いられる整数座標族について、その存在性を証明し効率的な構成法を与えるものです。あわせて、Ng-Lau方式に自明な偽造が可能であることと証明の欠陥を指摘しています。修正方式PiICと、任意の素数指数に対応する整数秘密分散方式PiZを提案し、標準的なRSA仮定の下でTS-UF-CMA安全性を示しています。

Shivansh Jaiswal, Somitra Sanadhya

IACR ePrint Public-key cryptography

High-Precision Bootstrapping for GCKKS

説明GCKKS向けの高精度ブートストラップ

要約本論文は、GCKKS(一般化CKKS、近似演算のための準同型暗号方式)の高精度ブートストラップ手法を提案し、低精度のオーバーフロー抽出と反復的な精度向上によって構成しています。復号因子とスロット数を変換する暗号文変換の枠組みを設計し、精度の倍増と暗号文の分割を組み合わせています。目標精度 p と次元 N の環における 2N/k 個の有効スロットについて、計算量の結果を示しています。

Shihe Ma, Jiaming Liu, Anyu Wang ほか

★★★★★ 注目
IACR ePrint Attacks and cryptanalysis

Linear Cryptanalysis of TFHE-Friendly Cipher FRAST in the Average Key Setting

説明TFHE 向け暗号 FRAST の平均鍵設定における線形解読解析

要約Bak らの TFHE 向けストリーム暗号 FRAST に対する線形攻撃では誤った推測が通過してしまい、原著者は未解決問題として残していました。本論文は軌跡相関を厳密に計算し、各固定マスター鍵に対する統計量の成功確率と誤警報の上限を示しています。既知の XOF 入力の下で、アルゴリズム Contract は 15 ラウンドの分岐ペアのクラスと 10 ラウンドのマスター鍵を復元しました。コストモデルでは 26 ラウンド、38 ラウンドでの結果も示されています。独立した分岐 S ボックスにより安価なクラスは除去できるが、TFHE における代償があると述べています。

注目点FRASTの平均鍵設定に対する線形攻撃で、誤推測を厳密に扱い正確な相関と誤警報の上界を示し、既存攻撃を実質的に前進させた。

Xingwei Ren, Zhenyu Xiong, Bo Xu ほか

arXiv cs.IT · cs.CR · math.IT

Homomorphic Encryption with Coset Code Construction

説明剰余類符号による準同型暗号の構成

要約本論文は、スカラー消息符号に基づく準同型暗号の構成を拡張し、剰余類符号を用いて k 個の消息記号を長さ n の暗号文ベクトルにまとめる方法を示している。これにより、一つのメッセージ記録を送信するのに必要な暗号文ベクトルの数を減らせる。また、既定の次数までの公開の加算および乗算を支える互換性のある評価符号族も提示されている。著者らは、座標ラベルの識別不能性という仮定の下で、本方式が有界な選択平文安全性を達成することを証明している。

Haodong Yang, Venkata Gandikota

arXiv cs.CR · cs.AI

AgentPhishing: A Benchmark of LLM Email Agents Under Adaptive Attack

説明適応型攻撃下のLLMメールエージェントのベンチマーク(AgentPhishing)

要約本論文は、説得力のあるフィッシングメールが検出を回避し、LLMメールエージェントに悪意ある要求を実行させられるかを評価するベンチマーク「AgentPhishing」を提示する。著者らはPhishOptを開発し、個々のエージェントに合わせて再利用可能なメール生成スキルを最適化し、Cialdiniの説得の原理を用いて失敗に関連する戦略を分析する。既存のフィッシングメールには安全に対応できるエージェントも、エージェントの挙動に適応させた攻撃には依然として脆弱であることが示された。

Justin Tan, Miao Li, Ding Zhao