暗号・セキュリティ · 2026年10月17日(土)

arXiv のセキュリティ・暗号分野(cs.CR)と IACR 暗号学プレプリント。

arXiv cs.CG · cs.CR

Fast ℓ_∞-Reduction of Rank-2 Lattices in ℝⁿ via a New Reduced-Basis Notion

説明ℝⁿ内のランク2格子に対する高速な無限大ノルム簡約:新しい簡約基の概念

要約本論文は、ℝⁿ内のランク2の格子を対象に、無限大ノルムの下での新しい簡約基の定義を提案し、それに基づく効率的な格子基底簡約アルゴリズムを示しています。このアルゴリズムは、基底ベクトルの主要座標を用いてユークリッド除算に類似した多次元の操作を行い、非終了の各反復で基底ベクトルの最大無限大ノルムが少なくとも半分になります。計算量はラグランジュ–ガウス簡約と同じオーダーのO(nT²)であることが証明され、高次元格子では実行時間が大きく短縮されたと報告されています。

Bo Pang, Shaojing Zhang, Chengliang Tian

★★★★★ 注目
IACR ePrint Attacks and cryptanalysis

Superspecial points on Humbert surfaces and the probability of (N,N)-splitting

説明ヒンバート曲面上の超特異点と(N,N)分裂の確率

要約有限体の代数的閉包上の超特異な主偏極アーベル曲面のうち、最適な(N,N)分裂をもつものの割合を研究している。著者は、その割合が一次の近似で5NJ₂(N)/p(J₂はジョルダンの函数)に等しいことを、明示的な誤差評価とともに示す。2≤N≤7については定数を明示的に求めている。

注目点超特異点曲面をSiegel重みで Humbert不変量の種の平均と結びつけ、(N,N)分裂割合の一次公式を厳密に導出し、12素数で検証している。

Tanush Shaska

IACR ePrint Implementation

Efficient Fixed-Point Implementation of Mitaka

説明Mitaka署名方式の効率的な固定小数点実装

要約Mitakaは Falcon(FN-DSA)の派生方式で、署名手順が大幅に単純で並列化可能です。本論文は浮動小数点演算を使わない MitakaZ の署名アルゴリズムを固定小数点で実装し、原の整数Gram根分解を固定小数点Cholesky分解に置き換えて整数ガウス採样のコストを下げています。中間値と表現誤差の上界も証明しています。Intel Core i7-1360P上でMitaka-512は平均361 kcycles、Mitaka-1024は707 kcycles、ARM Cortex-M4F STM32F411ではそれぞれ4.0、7.8 Mcyclesで署名を生成します。

Shiduo Zhang, Paul Kirchner, Xiuhan Lin ほか

IACR ePrint Implementation

GPU Acceleration for Boyar-Peralta Algorithm in High Dimensional Linear Layers

説明高次元線形層向け Boyar-Peralta アルゴリズムの GPU 高速化

要約本論文は、線形層の最小 XOR ゲート回路を求める Boyar-Peralta(BP)アルゴリズムとその変種について、中間一致(MITM)手法で理論計算量を下げ、GPU 並列を活かす実装へ再設計し、候補枝刈りも導入するものです。同じ解の品質を保ちながら、通常条件と深さ制限条件の両方で求解を大幅に高速化したと報告しています。さらに、いくつかの新しい g-XOR の記録や、40 次元以上の MDS 行列の構成結果を示しています。

Xiao Huang, Chao Sun, Ge Wu ほか

arXiv cs.CR · cs.SE

Narratives Mislead: An Empirical Study of How LLMs Misjudge CVSS Severity in Bug Bounty Reports

説明物語は誤導する:バグバウンティ報告における LLM の CVSS 深刻度の誤判定に関する実証研究

要約本研究は Huntr と HackerOne で公開された 4,281 件の報告から、ベンダーが検証した CVSS ベクトルを持つ 240 件のベンチマークを構築し、8 種の LLM を 4 つのプロンプト手法と微調整の下で評価しました。最良の設定でも等級の正答率は 49.58% にとどまり、7B モデルの微調整でも最大 56.25% でした。誤りは過大評価に偏り、低深刻度の脆弱性はほとんど認識されませんでした。著者らは、仕様と叙述的な報告の間で曖昧になる三つの意味的境界に原因を求めています。

Ruitao Feng, Yuekang Li, Yao Zhang

arXiv cs.SE · cs.AI · cs.CR

When Code Becomes an LLM Call: An Empirical Study of Call-Site Contracts in Agentic Systems

説明コードが LLM 呼び出しになるとき:エージェントシステムにおける呼び出し箇所の契約に関する実証研究

要約本論文は、40 のオープンソースのエージェントシステムに含まれる 496 の LLM 呼び出し箇所を対象に、各箇所であるべき契約と、コードが実際に実装している契約を比較した実証研究です。LLM の出力の 48% が制御フローや実行に到達し、そのうち 73% は人の確認を経ていないと報告されています。また、預期される制約の約 63% は満たされておらず、契約全体を満たす呼び出し箇所は 5.3% にとどまりました。

Shihao Weng, Longtian Wang, Yang Feng ほか

★★★★☆ 注目
IACR ePrint Implementation

DPA-style Attacks on VOLE-in-the-Head Signature Schemes

説明VOLE-in-the-Head署名方式に対するDPA型攻撃

要約本論文は、VOLE-in-the-Head(VOLEitH)方式の耐量子署名を対象とした、初のDPA型電力サイドチャネル攻撃フレームワークを提案しています。攻撃対象は秘密の証人(secret witness)で、VOLE相関の計算に含まれる機密性の高い中間値からの漏えいを分析しています。これに基づき、FAEST と SDitH に対する縦方向2種と横方向4種、計6クラスの攻撃を提示し、シミュレーションおよび3台のARM Cortex-M4機器での実測により有効性を検証しています。

注目点VOLEitH署名に対する初のDPA型攻撃フレームワークを提示し、FAEST・SDitHの六種の攻撃をシミュレーションとARM Cortex-M4実測で検証している。

Jinnuo Li, Shu Han, Yunyan Zou ほか

arXiv cs.SE · cs.CR

Effective Construction of Feature Database of Fingerprinting Functions for Code-Clone SCA

説明コードクローン型SCAのための指紋関数特徴データベースの効率的構築

要約サードパーティライブラリの利用が一般化する中、学術ツールは限られたリポジトリで実験しており実運用との差が残っている。本論文はOSSScopeを提案し、GitHub上の255万のCリポジトリから貪欲法で、少ないリポジトリで多様な指紋関数を得られるものを選ぶ。その結果、19万リポジトリ由来の6,100万の指紋関数からなる特徴データセットを構築し、先行ツールより再現率が22.65%向上したと報告している。さらに、リポジトリの採否を判定する軽量分類モデルRClassifierを導入し、Golang生態系で有効性を検証している。

Zhiling Zhu, Tieming Chen, Chengwei Liu ほか

★★★★☆ 注目
arXiv stat.ML · cs.CR · cs.DS

Private Evaluation of High-Dimensional Functions

説明高次元関数の差分プライバシー付き評価:任意の高次元関数を差分プライバシーを保ちながらブラックボックスで評価し、出力を関連ベクトルの凸包内に収める手法。

要約本論文は、任意の高次元関数に対する差分プライバシー付きブラックボックス評価を研究している。評価者はデータセットの下近傍内でのみ関数値を照会でき、その関数値の近似をプライベートに出力することが目標である。著者らは高次元の私的準凹最適化(QCO)への帰着により、純粋な差分プライバシーと近似差分プライバシーの双方に対する汎用評価器を設計し、高い確率で出力が関連ベクトルの凸包内に入ることを示している。さらに、ユーザー単位の最適化への応用と、この問題設定が高次元私的QCOと次元の因子を除いて同値であることも述べられている。

注目点一次元の関数の私的評価を高次元へ拡張し、私的QCOとの等価性や加法的オーバーヘッドによる改善を示す点で理論的貢献が大きい。

Mohammad Afzali, Hassan Ashtiani, Adam Smith

IACR ePrint Secret-key cryptography

Associated-Data Correlations in Eevee: Deterministic Forgeries against Nonce-Misuse Security

説明Eevee暗号方式における関連データ相関を利用した決定的偽造攻撃(ノンス誤用時の安全性に対する)

要約本論文は、Eevee暗号方式のUmbreonおよびEspeonモードについて、ノンスが再利用された場合の認証付き暗号の安全性を分析しています。関連データの相関を利用し、3回の暗号化クエリと1回の検証クエリで、確率1の非空メッセージ偽造を構成しています。また、末尾が完全なブロックでない場合の系統的な分析を行い、より少ないクエリ数での構成も示しています。

Takanori Isobe, Mostafizar Rahman

★★★★☆ 注目
arXiv cs.CR · cs.CL · cs.CV

Defending Against Dormant Poisoning Attacks Across Language and Multimodal Agents

説明言語・マルチモーダルエージェントにおける休眠ポイズニング攻撃への防御

要約本論文は、攻撃者がリリース時には隠れており、良性のファインチューニング後に現れる休眠型の悪意ある振る舞いを埋め込めることを示し、それがエージェントの未見の行動やマルチモーダル環境にも及ぶことを検討しています。著者らは、公開モデル自身の安全な応答を用いて Safety Buffer を構築し、更新を事前に評価して安全性を弱める更新のみを抑制する LookAhead Defense を提案しています。実験では、従来のファインチューニングと比べて有害な振る舞いを大幅に減らしつつ、有用性と過剰拒否の低さを保つと報告されています。

注目点潜伏型毒化攻撃が安全挙動を保つ性質を利用して安全バッファを自動構築し、先読み防御で有害挙動を大きく削減。実験範囲は広い。

Wonjun Lee, Vaidehi Patil, Zaid Khan ほか

arXiv cs.CR · cs.SE

InterType: Breaking the Single-Function Barrier in Neural Binary Type Inference

説明InterType:ニューラル二値型推論における単一関数の壁を越える

要約本論文は、二値型復元のために事前学習済みTransformerモデルに関数間解析を組み込むInterTypeを提案します。CodeArtをベースに、微調整時に呼び出し元と呼び出し先の間のデータフロー依存関係を加えています。coreutilsベンチマークのO1最適化バイナリでは、再現率がCodeArtベースラインの89.00%から91.76%に向上しました。

Shan Wang, Tianming Cui, Stephen McCamant ほか

arXiv cs.CR · cs.LG

Can Agents Keep Secrets They Were Never Told? Benchmarking Latent Privacy Risks Across Sessions with MemJoin

説明エージェントは知らされていない秘密を守れるか?セッションをまたぐ潜在的プライバシーリスクをMemJoinで評価

要約本論文は、288件の合成分析事例からなるプライバシーベンチマークMemJoinを提案しています。全履歴をたどると機微な関係が判明するが、個々のセッションだけでは不十分な事例です。同じ回答生成モデルを用いて六つのメモリシステムを、全履歴および履歴なしの対照条件と比較評価しています。結果から、目標属性値が見えるかを確認するだけでは、複数セッションの記録が組み合わさって明らかにする情報を評価するのに不十分だと示されています。

Qishun Yang, Shu Yang, Difei Xu ほか

arXiv cs.CR · cs.AI · cs.LG

RATION: Towards Quantitative Risk-Based Access Control for AI Agents

説明RATION:AIエージェント向けの定量的リスクベースアクセス制御

要約本論文は、タスク実行中に蓄積される測定可能なリスクを基に、AIエージェントのアクセスを制御する定量的手法を提案しています。その具体的な実装としてRATIONというセキュリティフレームワークを設計し、ユーザー要求から導出される明示的制約と、類似タスクの過去の実行から較正される暗黙的リスクを組み合わせてタスク固有のポリシーを構築します。実行中は累積リスクを継続的に追跡し、リスクの種類に応じて異なる強制戦略を適用します。四つのセキュリティベンチマークでの実験では、多様なモデルと環境において高いタスク効用を維持しつつ強い安全性を示したと報告されています。

Yuntao Du, Harsh Chaudhari, Yuetian Chen ほか

★★★★☆ 注目
arXiv cs.LG · cs.CR

Predicting CVSS and CWE from CVE Descriptions with Fine-Tuned Small Language Models

説明微調した小型言語モデルでCVE記述からCVSSとCWEを予測する研究

要約NVDは新たに公開されるCVEのすべてにはCVSSとCWEを付与しなくなり、セキュリティチームはパッチの優先順位付けに必要な分類情報を欠いています。本研究は脆弱性の説明文のみからCVSS v3.1ベクトル、基本スコア、重大度、CWEを予測します。2022〜2023年のデータで学習し、2024年の36,325件のCVEで評価した結果、微調整したPhi-3.5-miniは重大度で69.9%、CWEで70.9%の精度を示し、TF-IDFロジスティック回帰を上回りました。

注目点NVDが多くのCVEへの付与を停止した問題に対し、小型モデルの微調整で説明文からCVSSとCWEを予測し、リーク防止と対応ブートストラップで評価している。

Tara Dixit, Jessie Dong, Summer Li

★★★★☆ 注目
arXiv cs.CR · cs.AI

Unbounded Losses, Unchecked Inputs: Measuring the Safeguards of LLM Options-Trading Agents

説明上限のない損失、検証されない入力:LLMオプション取引エージェントの安全対策を測定

要約本論文は、証券会社や開発者が公開しているオプション取引エージェントを初めて測定し、実施されている安全対策と、文書化された注文経路で生じうる最大損失によって評価しています。215のリポジトリと8つの証券会社ネイティブのインターフェースを検討し、26のシステムを評価した結果、テキスト入力の認証や市場データの相互確認を行うものはなく、13のシステムは損失に上限がない可能性があることがわかりました。著者は、注文の段階で損失制限を強制する必要があると述べています。

注目点オプション取引エージェントの安全対策を初めて体系的に測定し、26システム中多くが無制限損失に至りうると示した。

Mengxiao Wang, Nitesh Saxena

★★★★☆ 注目
arXiv cs.CR · cs.AI コードあり

SPIDES: Information-Flow Control for Browser Agents

説明SPIDES:ブラウザエージェント向け情報フロー制御手法

要約ブラウザエージェントはウェブページの内容を読み取って操作するため、プロンプトインジェクションや意図しないデータ流出の危険にさらされます。本論文は SPIDES を提案し、HTML 要素の機密性と完全性のラベルに基づいて入力・クリック・遷移などの基本操作を制御します。信頼できない内容や機密内容はエージェントの文脈から隠され、未承認のデータの流れはポリシーで遮断されます。28 サイトからなる評価環境 MicroNet では、攻撃成功率 0%、高いタスク完了率が報告されています。

注目点要素レベルのラベルで操作を制御する情報フロー制御をブラウザエージェントに適用し、独自ベンチマークで検証している。新規性は高いが評価規模は限定的。

Egor Zverev, Juhee Kim, Leon Trampert ほか

IACR ePrint Cryptographic protocols

Zippel: A Language, Compiler, Runtime, and Analyzer for ZK Proof Systems

説明Zippel:ZK証明システム向けの言語・コンパイラ・ランタイム・アナライザ

要約本論文は、暗号証明システムのための言語、コンパイラ、ランタイム、アナライザである Zippel を紹介する。暗号論文の擬似コードに似た構文で記述でき、型システムとランタイムにより、Fiat–Shamir 変換の正しい適用やトランスクリプトの同期など、脆弱性の種類を構造的に排除する。また、プロトコルの記述のみから完全性と健全性を自動的に静的解析できる。著者らは Sumcheck、Schnorr、KZG、Groth16 など 35 種の証明システムを実装し、マルチコア環境で手書き実装と競合する性能を示したと報告している。

Sebastian Angel, Sydnie-Shea Cohen, Eleftherios Ioannidis ほか

arXiv cs.CR

Automated Rule Mutation for Emerging Attack Variants using Infrastructure-Aware Technique Proximity

説明新たな攻撃亜種に対応するための、インフラ認識型技術近接性を用いた自動ルール変異手法

要約本論文は、攻撃者が実行経路や取得できるテレメトリ環境を変えた場合に備え、既存の検出ルールから亜種ルールを自動生成するARMSを提案しています。三次元の近接性空間で関連技術を特定し、Atomic Red Teamとの意味的整合で抽出した検証可能な攻撃コマンドを使い、文脈対応型のRAGパイプラインを構築します。公開のSigmaHQルールで評価したところ、生成されたルールの大半がSIEMクエリにコンパイルでき、約92%が攻撃技術の変化があっても元の挙動を検出できたと報告されています。

Sepehr Ghaffarzadegan, Boubakr Nour, Makan Pourzandi ほか

arXiv cs.CR · cs.LG

Recording-Aware Evaluation of Multimodal OT Intrusion Detection

説明マルチモーダルOT侵入検知のための録画認識型評価手法

要約本論文は、OT向け機械学習侵入検知システムの評価に使われるベンチマークデータセットでは、正常データと攻撃データが別々に録画されているため、高い性能が攻撃の振る舞いだけでなく録画による差異も反映している可能性があると指摘します。著者らは、同一録画内の背景と攻撃ウィンドウを比較し、時間的整合性や告警負荷を評価する手法を提案します。ProvICSデータセットでは、同一録画での評価によりモダリティの順位が逆転し、跨録画と同録画のAUCの差は最大0.54に達しました。

Mustafa Umut Ozbek, Khalil El-Khatib, Li Yang

★★★★☆ 注目
arXiv cs.HC · cs.CR · cs.CY

Bad Diagnosis: Analyzing Consent and Data Collection Practices of Mobile Medical Apps

説明誤った診断:モバイル医療アプリの同意とデータ収集の実態分析

要約本論文は、Google Play Store上の1万件以上のモバイルヘルス(mHealth)アプリについて、静的解析とプライバシーポリシーの検証を組み合わせ、同意とデータ収集の実態を分析したものです。その結果、約69.15%のアプリが申告目的と無関係な権限を要求し、約93%のアプリがユーザーに同意フォームを提供していないことが示されました。著者らは、この分野でプライバシー規制の強化が急務であるとし、データセットと測定ツールの公開を予定しています。

注目点10000以上の健康アプリを対象に静的解析とプライバシーポリシーを組み合わせ、同意と収集の実態を大規模に示し、約93%が同意フォームを欠くことを明らかにした。

Ethan Myers, Lorenzo De Carli, Shantanu Sharma ほか

★★★★☆ 注目
arXiv cs.CR

Under the Skin: Backdoor Infection in Multimodal Large Language Models

説明『Under the Skin』:マルチモーダル大規模言語モデルにおけるバックドア感染に関する研究

要約本論文は、マルチモーダル大規模言語モデル(MLLM)を標的とするクロスモーダル攻撃フレームワーク「バックドア感染」を提案している。ある一つのモダリティでバックドアが埋め込まれたモデルを出発点に、別のモダリティ(感染モダリティ)で対応するトリガーを構成する。モデルの共有潜在空間を利用し、学習時に感染モダリティを改変や汚染することなく、そのトリガーで悪意ある挙動を確実に起動させる。さらに、効率的で実用的なトリガー生成のための軽量で制約を考慮した最適化手法も開発された。LLaVA、InternVL、Qwen-VL、Gemmaなど複数の最先端モデルでの実験により、直接最適化を行うベースラインよりも効率的・効果的で検出されにくいことが示されている。

注目点共有潜在空間を利用した跨モーダルのバックドア感染という新しい攻撃範式を提案し、複数の主要MLLMで検証しているが、実験詳細は概要では簡潔。

Jiawen Wang, Ruo Yang, Haoran Dai ほか

arXiv stat.ML · cs.CR · cs.LG

Task-aware Kernel Stein certificates for Rényi differential privacy

説明タスク認識型カーネルStein証明書によるRényi差分プライバシー

要約本論文は、逃げ分布(escort distribution)に基づくカーネルStein離散度を用いて、Rényi差分プライバシーの証明書を提供する手法を提案している。カーネルを関連するプライバシー方向に焦点を当てるよう設計することで、タスク認識型のプライバシー証明書も導出している。ガウス機構とラプラス機構については厳密な等式を、指数機構については上界を示し、実データセットの例で保護された比較集合と公開される部分空間が結果の証明書を共に決めることを示している。

Leoni Carla Wirth, Tara Trauthwein, Gesine Reinert

arXiv cs.CR · cs.LG

ToolRosetta: Surface-Form Invariance of Tool-Call Guards

説明ToolRosetta:ツール呼び出しガードの表面形式に対する不変性の検証

要約本論文は、ツールを使うエージェント向けのステップ単位のガードが整形された JSON のツール呼び出しで評価されている一方、実際のコーディングエージェントは文字列ペイロードを持つ execute_bash や execute_code を介して動作すると指摘する。著者らは AgentDojo と AgentHarm の分割における候補動作を、Python 呼び出し、シェルコマンド、エージェントの根拠説明なしの形式に変換する ToolRosetta を提案する。その結果、フロンティア級のガードは安定している一方、多くの専用エージェントガードはシェル形式で誤検知率が大きく上昇した。JSON 呼び出し上のベンチマーク精度は、コード実行型エージェントの背後での動作点を予測しないと結論づける。

Hasan Demirkiran, Jens Ernstberger

★★★★★ 注目
arXiv cs.CR · cs.AI · cs.MA

Red-Teaming Multi-Agent Attacks for Loss-of-Control Risks

説明マルチエージェント協調攻撃のレッドチーム評価:制御喪失リスクの検証

要約本論文は、5つの相互接続サービスと249の良性タスク、8種類の攻撃目標からなるベンチマーク「MiniLab」を提案しています。複数のエージェントが攻撃の断片を分担する分散型攻撃は、各エージェントの軌跡を個別に見る監視モデルでは7%しか検出されず、単一エージェントの場合の87%と大きな差がありました。さらに、モデル自身に計画させた攻撃の隠密成功率は、人間が設計した計画より大幅に低いと報告されています。

注目点分散型マルチエージェント攻撃の赤チーム評価枠組みを提案し、再現可能な環境と人手による攻撃で監視の回避を実証しており、新規性と根拠は十分。

John Kitaoka, Thao Amelia Pham, Carlos Rafael Giudice ほか

★★★★☆ 注目
arXiv cs.CR · cs.LG

HardEval: An Execution-Verified Benchmark for AI-Driven Security Hardening and Compliance Remediation

説明HardEval:実行検証に基づくAI駆動のセキュリティ強化・コンプライアンス是正ベンチマーク

要約本論文は、言語モデルを用いたオペレーティングシステムのセキュリティ強化能力を評価するベンチマーク HardEval を提案しています。Red Hat Enterprise Linux 8 の STIG 項目のうち、未強化のベースラインシステムで不合格となるものを題材とし、モデルが生成した Bash スクリプトを実機の仮想マシンで実行して、OpenSCAP/OVAL による検査で不合格から合格に変わるかを判定します。14の構成を評価した結果、セキュリティ分野ごとに能力差が大きいことや、一見妥当でも正確な合規条件を満たさないコードが生成される失敗が多いことが示されました。

注目点STIG準拠のセキュリティ強化を実機VMで実行しOVAL検査で検証するベンチマークを提案し、14構成の比較実験で有効性を示しており、新規性と証拠は十分で影響は中程度。

Manohar Vellala, Soumya Banerjee, Sandip Roy ほか

IACR ePrint Applications

Watermarking Proofs with Provenance-Binding ZK-SNARKs

説明来歴束縛型ZK-SNARKによる証明への透かし埋め込み

要約外部委託の証明サービスや分散型証明者ネットワークでは、証明者の身元と要求ごとの乱数(ナンス)で証明の来歴を示す必要があります。本論文は、Succinct Networkなどが来歴情報をFiat-Shamirチャレンジに埋め込む方法は安全でなく、事前計算攻撃に弱いことを示し、KZG-PLONKに対して攻撃を実装しています。そのうえで、来歴束縛ZK-SNARKの初の形式的定義を提案し、BaseFoldやFRIなどの符号ベース多項式コミットメントに来歴束縛を加える汎用的な構成法を示しています。オーバーヘッドは小さいとされています。

Wenhao Wang, Fan Zhang, Charalampos Papamanthou

★★★★☆ 注目
arXiv cs.CL · cs.AI · cs.CR

The Window Is in the Reasoning: When LLM Agents Decide to Follow Prompt Injections

説明インジェクションの決定時点は推論の中にある:LLMエージェントがプロンプト注入に従うことを決める時点

要約本論文は、信頼できない内容を読むLLMエージェントがプロンプト注入によって乗っ取られる仕組みを調べています。注入を読んだ時点から試行を分岐させて何度も再実行し、結果のばらつきを読んだ時点で決まる部分と、その後に決まる部分に分けて測定しています。思考を有効にするとこの読んだ時点で決まる割合は0.91から0.62に下がり、思考ありの単発実行のラベルは再実行と最大35%食い違うため、ベンチマークはタスクごとに複数回の実行が必要だとしています。

注目点分岐ロールアウトで結果の分散を読取時点と後続で決まる部分に分解し、思考モードが決定の時期を変えることを示す。

Haoxuan Jia, Yang Liu, Bin Chong ほか

arXiv cs.CR · cs.AI

TUPLE-Bench: Evaluating and Mitigating Privacy-Utility Trade-offs in Typed Decision Models

説明TUPLE-Bench:型付き意思決定モデルにおけるプライバシーと有用性のトレードオフの評価と緩和

要約本論文は、型付き意思決定モデルの有用性とプライバシー漏えいを評価するための、対になった合成事例からなるベンチマーク TUPLE-Bench を提案しています。原因を隠すよう指示するだけでは保護できず、回答の91.88%〜99.93%が直接の選択や残差スコアを通じて原因を明らかにすることが示されています。また、下流ワークフローの挙動とコストを保ちつつ秘密の復元を減らす手法 WCPQ も提案されています。

Yiqu Yang, Qiaoyuan Zheng, Yang Tian ほか

IACR ePrint Cryptographic protocols

CHAMP: Cayley HAshing with Matrix Products

説明CHAMP:行列積に基づく Cayley ハッシュ

要約Cayley ハッシュ関数は、メッセージのビットを半群の元として表し、対応する元を掛け合わせることでハッシュ値を求めます。このため準同型性という有用な性質を持ちます。本論文は、有限体上の 2×2 行列の積に基づく Cayley ハッシュ関数 CHAMP を提案し、その安全性、実装、性能について検討しています。

Alexander Demin, Alexey Ovchinnikov, Vladimir Shpilrain

IACR ePrint Cryptographic protocols

Analysis of the Multi-Key Optimization for SPECK

説明SPECK における多鍵最適化の解析

要約SPECK は、置換カーネル問題と置換符号同値問題の類似性を利用した符号ベースのデジタル署名方式である。ガウス消去法を行列とベクトルの乗算に置き換えることで高速化を実現している。本論文は SPECK の多鍵最適化を再検討し、複数の鍵を安全に組み込むための条件とパラメータ制約を詳しく分析する。また、同じ構成に基づくリング署名方式も設計している。

Marco Baldi, Michele Battagliola, Rahmi El Mechri ほか

★★★★☆ 注目
arXiv cs.CR · eess.SP · stat.AP

Token-Level Attribution of Multi-Mode LLM Watermarks: Optimal Rule and Belief Weighting

説明複数モードのLLM透かしにおけるトークン単位の帰属:最適規則と信念重み付け

要約本論文は、テキストに複数の秘密鍵(モード)による透かしと無透かしの部分が混在する場合に、各トークンがどのモードに属するかを判定する問題を扱う。第一種の過誤の制約下で正しいラベルの検出力を最大化する最適規則を示し、それに基づくBLADE検出器を提案する。BLADEは近傍のピボットからモードの事前分布を、参照トークン確率から代替密度を推定する。OPT-1.3Bなどの実験で、比較対象より高い検出力が報告されている。

注目点多鍵透かしの最適帰属規則とBLADE検出器を提案し、理論と複数モデルでの実験が揃っており、分野への影響は中程度以上。

Rui Zhou, Licheng Zhao, Chao Shen ほか

★★★★☆ 注目
IACR ePrint Public-key cryptography

Fully Homomorphic Encryption for Small Batches of Complex Numbers

説明小規模な複素数バッチ向けの完全準同型暗号

要約本論文は、小規模な複素数バッチを処理するための新しい近似準同型暗号方式を提案しています。レベル付き演算は新しい整形丸めに基づき、データスロットでは誤差が小さく、それ以外のスロットでは誤差が大きくなります。未使用スロットはガードバンドを構成します。環次数2^15・128ビット安全性を目指したパラメータで、16または64個の値を保持する暗号文のブートストラップにより21レベルを回復し、最小精度22.6ビット以上を保持できると報告されています。安全性は、CKKSと同じパラメータのRing-LWEに帰着されます。

注目点成形丸めと保護帯を用いた新しい近似同型暗号方式を提案し、CKKSのスケール係数を一般化、ネイティブブートストラップも示す点に新規性がある。poulpyでの特定パラメータ比較は説得力があるが範囲は限定的。

Jules Dumezy

IACR ePrint Public-key cryptography

SLEEK: Sparse Quasi-Cyclic Codes with Closed-Form DFR Key Encapsulation

説明SLEEK:閉形式の復号失敗率を持つ疎な準巡回符号による鍵カプセル化方式

要約本論文は、QC-MDPC 符号に基づく鍵カプセル化機構 SLEEK を提案します。3 回の並列ビットフリップ復号を用い、復号失敗率(DFR)の閉形式の推定を与えることで、解析的に失敗確率を抑えたパラメータ選択を可能にします。長期鍵向けの SLEEK-LT(IND-CCA)と一時鍵向けの SLEEK-E(IND-CPA)の 2 種類があり、128、192、256 ビットおよび 80 ビットの安全性水準のパラメータを提供します。原文によれば、HQC と比べ SLEEK-LT は暗号文が 4.9 倍小さく実行時間は 47% 増加、SLEEK-E は実行時間が 1.6 倍速く帯域幅使用量は 2.1 倍削減されています。

Alessandro Annechini, Alessandro Barenghi, Marco Gianvecchio ほか